今日は空の色がきれいだった。
晴天率が高い瀬戸内でも、めったに見られないマジッスカイブルー!
「すっげぇ〜!」とゆうべきか、「チョー」とゆうべきか、判断に迷う美しさだな(笑)

〓頭のすぐ上にあった青空〓せっかくだから、空とか山の写真でも撮っておくか。
そう思ってぶらぶらしていたら、何やら怪しげな黒い壁を発見!

〓谷屋83俺壁〓その壁の手前が不自然に空き地になっているから、パッと見た瞬間には火事の焦げ跡かと思った。
隣にあった建物が火事で焼け落ちて、運よく延焼を免れたんだろうな・・・と。

〓近づくとこんなカンジ!!〓でも、近づくにつれて何かの模様に見えてきて、やがてそれが超極太の文字であることがわかった。
力強い「俺」の文字がなんと!83個!!
4階建ての小さなホテルの壁を全面使って描かれていた。
壁の右上にも文字が書かれていたが、こちらは達筆すぎて読めなかった。
うーん・・・なんだろ?
83個の俺で何を表現したいのか、さっぱりわからない。
「やみ」なのか?
・・・ありえねぇ〜!
「ウソの三八」の逆だから、「真実の俺」ってことが言いたいのか?
・・・ありえそうだな。
それとも、単なる目立ちたがり屋の自己主張?
・・・大いにありえそうだ。
気になって仕方がないので、ホテルの人に聞いてみることにした。
思い立ったが吉日、突撃取材敢行なのだ。
ホテルの玄関に立ち、恐るおそる「こんちわ〜っ!」と声を掛けてみた。
すると、奥のほうから「いらっしゃいませ」と元気のよい挨拶が聞こえてきて、すぐに女将さんらしき人がにこやかに現れた。
「ちょっと聞いてみたいんですけど。ここのホテルの壁に俺ってゆう字をいっぱい描いてるでしょ?あれは何か意味があるんですか?」
「ああ、あれね。壁書(かべしょ)とゆうのよ」
「ほしたら落書きじゃないんですね」
遠慮せずズバリ言ってみたら、女将さんはうれしそうに微笑んでくれた。
「落書きなんかやないよ。ちょっと待っといてね。ええモンを見せたげるけん。上がって待っときなさい」
そうゆうと、女将さんは奥の部屋に入っていった。
ええモン・・・なんだろ?
ロビーにあるソファに腰かけ、ぼくは興味シンシン丸になりそうだった。
「これや。これを見ていきなさい」
間もなく女将さんは1冊のかなり分厚い本を持ってきた。
『詩人三代目魚武濱田成夫の形見』・・・それがこの本のタイトルだった。
取材をするのにメモ帳を持っていなかったぼくは、急いで手のひらに書き留めようとした。
「そんなとこに書かんでも」
「あっ・・・はい!」
女将さんはぼくの仕草を見てクスッと笑うと、フロントに置いてあるメモ用紙を手渡してくれた。
ハードカバーの本のしおりを挟んでいるページを開くと、さっき見た壁書が載っていた。
「すっげぇ〜!ちゃんと載ってる〜っ!」
思わず興奮して叫んでしまった。
「そうそう。いちおう芸術書に載ったりして、ちょっとすごいやろ?」
「うんっ♪すげえよ。あれ描いたんは詩人やったんやね。聞いてよかった。ありがとうございます」
なるほど!壁全体がひとつの芸術作品だったんだ!!
しかも描いたのは詩人らしい・・・いい響きだ・・・詩人って(笑)
詩人三代目魚武濱田成夫さん(長い名前だな!笑)は、自分を褒め称える詩しか作らない詩人で、自分のためだけに『形見』を作り続けているそうだ。
熱狂的なファンもいるらしい。
「ぜひ壁書の一部を譲ってほしい。カケラでもいい。ホテルを建て替える予定はないのか?」
たまにそんな問い合わせの電話がかかってくるとゆう。
建て替えの予定だなんて、余計なお世話だよな!(笑)
ぼくが本を見ている間、女将さんはいろんな話を聞かせてくれた。
この作品を描くときにはちゃんとした足場を組み、何日もかけて完成させたこと。
少し離れた場所から見上げたとき、上のほうの文字も同じ大きさに見えるよう細かく計算されていたこと。
濱田さんはある女優(名前を忘れたっ!)の最初のダンナだったこと・・・などなど。
こうゆう表現方法があることを初めて知ったことだし、有意義な取材だったな!
図々しく突撃してよかった。
親切な女将さん、あんがとねっ♪
ところで、「単なる目立ちたがり屋の自己主張?」って予想は、自己主張のひと言が含まれているから全くのハズレでもなかったような気がする。