直属の上司、ボスが課長に昇進した。
これまで現場一筋だった鬼軍曹が、ついに管理職の道を歩みはじめたのだ。
デスクワークが忙しくなり、部下の人数が一挙に何倍にも増えた。
僕と一緒に現場で作業する機会はなくなった。
しかし、毎日一回、必ずゆうや小隊の仕事ぶりを見回りにやって来る。
僕にとって直属の上司であることに変わりはないのだ。
隊長としてはイマイチどころか、イマハチぐらいの勢いで自信のない僕は、
ボスに教えを乞いたい点が発生すると、すぐに手帳にメモしている。
「そんなん自分で考えや!」
「前に教えたやろ!もう忘れたんか」
「ちがう!ボケッ!勝手にせえ」
初歩的な質問が原因で、毎回のように大音響で怒鳴られるというのに。
余裕っすよ!…の続きであります!
でも、そういうときにボスの表情を見ると、言葉とは裏腹にうれしそうに見える。
そこで、僕もつい「えへへ」と笑ってしまう。
で、「笑うな」と言って、また怒られる。
どうやらボスは、出来の悪い部下のところで長い時間の足止めをくうことを
本当は楽しみにしているみたいだ。
僕もボスの登場を楽しみにしている。たぶん。
帰り際にいつも、ボスは聞いてくる。
「ゆうや、大丈夫か?」
僕は答える。
「余裕っすよ!」
すると、ボスは半分以上あきれたように笑う。
「ホントやろな!?」とか、「頼むで」とか言いながら。
それが、この人の部下でよかったなって思える瞬間なのでありますw
【Hide More】